シブサワコウさんの本から学ぶゲーム事業の事


2017年 5月3日
 
 
 ネットを見ていたら、たまたまこんなフレーズが目に入ってきた。

 「0から 1を創造する」

 ふむふむ、今の自分に丁度いるものだな、何だろうと思ってみてみるとKOEIのシブサワコウさんの本らしい。

 創造の仕方も知りたいが、今はむしろ「ゲームの正当制」つまりどういうあり方ならゲームを仕事にする事を許されるのか、肯定されるのかを知りたい。

 という事でアルバイトで多少お金もできたし、ちょっと面白そうなので早速買ってみた。


 
 信長の野望、そう、当時自分も MSXのテープ版でかなり熱中した。

 自分は漠然と、シブサワコウさんという人はきっとマネジメントに才能のある人に違いない、と思ってた。

 何しろ SFC時代にカセットの値段が 1万円を越えていたので、よっぽど商売上手なんだろうと思った。
 それにエアーマネジメントやトップマネジメントなどの経営ゲームがある。

 本を読んだ結論から言うと、あの値段の付け方はシブサワコウさんではなく、奥さんの発案によるものだった。
 エアーマネジメントも後から入った社員のものらしい。

 しかしシブサワコウさん自体は、元々染料メーカーとして企業の社長だったんだそうで、やはり基本的に企業家としての基盤はあるし、信長の野望も「国の経営(内政や外交など)」という新しい要素を入れたので面白くなったんだそうだ。
 
 
 という訳で読んでみた。

 この人は典型的な成功者のパターン、基本的な事を徹底した人、という印象を持った。

 つまり
 1、ゲームを作るのが楽しすぎて、仕事と遊びが融合している。
 2、なので休日も朝も夜も無く、ほとんど仕事している。
 3、そして病気になる。
 4、一作目を出すまでに極貧、闘病で苦労している。
 5、目標というか「こうなりたいビジョンを明確に持ってる」(この人の場合ゲームで世界一)
 6、お客様に楽しんでもらう事を第一としてクオリティを追求し「良いゲームを作れば利益は後からついてくる」という考えである。

 どんな分野でも成功する人というのは大体こんな感じで「好き過ぎて没頭して世に出る前は極貧で失敗も沢山し、成功してから仕事が面白くて働きすぎで病気になる」というのはパターンだ。

 自分は一日 4時間くらいしか仕事してないが、やはりだから昔から言うように結局「半端者」なんだと思う。

 やっぱり成功している人というのは何かしらとにかく「徹底しているな」と改めて思った。
 
 
 事業者としての現実的な面もきちんとしている。

 「趣味や遊びと仕事は違う」として、自分が面白いだけではダメで、周りの人に聞いたりしてお客様が面白いかどうかをチェックする。

 5段階の関門を儲けて、企画や試作、α、βテストの段階で沢山の人でチェックして、これなら面白い合格という評価が出たら製品として発表しているそうだ。

 そう言えば昔のスクエアも「面白くないと思ったらお金がかかっていても製品にしない」という作り方をしていたと聞いた事がある。

 とにかくもシブサワコウさんは、製品を世に問うには勝算があるか競争力があるか、という事もきちんと考えているようだ。
 
 
 KOEIが大きくなった 3つの理由について書いているが

 1、好きな事を一生懸命行う
 2、伸びていく業界で思いきり仕事をする
 3、幸せな家庭を築く

 1は基本的な事で「好きでもないのに働いているなら業種を変えるべきだ」という意見はよく聞く。
 シブサワコウさんは事業家として「好きな業種だったら、嫌いな仕事でも勉強になるのでするべき」と言っていて、社員には色々な仕事を順番にやらせるそうだ。

 面白いのは 2で、これは染料メーカー時代の失敗とその後のゲーム業界への転進から言っているんだと思う。

 染料業界が外国の安い労働力に価格競争で勝てなくなって、父親が一度会社整理したのをシブサワコウさんがもう一度一からやり直してみたが「同じ商品を売っていても値引きくらいしか競争のしようが無い」という事で「需要の無い産業でいくら頑張ってもうまく行かない」という事らしい。

 これは自分も前に言ったが「収穫逓減の法則(需要に対する供給の飽和)」と「イノベーション(新規産業)」の話しではある。

 3の幸せな家庭を築く、は割りと一般的な事ではあるが、シブサワコウさんは世に出る前の苦しい時代に心の支えになった事や、奥さんが事業面で有能であり支えになった事によるのだと思う。

 別に特別な話では無くて、会社員がなぜ我慢して働いているのかと言うと「家族のため」であり、だから毎日働いていける面はあるだろう。
 
 
 ゲームの正当制の答えは得られなかった。

 シブサワコウさんは「ゲームの使命は面白い事」という事で終わっているので、まあ自分も基本的にゲームは娯楽でヒマつぶしなのでそうだろうとは思うのだけど、自分としてはこれだけでも納得の行く答えにはならない。

 しかしシブサワコウさんも、渋沢栄一という明治時代の日本の事業のあらゆる創始者と言われる人が好きで、そこから名前をとったくらいで、その渋沢栄一という人は「事業は社会や人々に奉仕するものでなくてはならい」ような考えで「商業と道徳を合一させる(著書「論語と算盤」)」ような独特の哲学を作った人らしい。

 改めてこれは 21世紀以降の人類がどういう考え方で今後社会や世界を動かしていくかの根幹的な話にはなるので、自分もその内勉強したいとは思う。

 大げさだと思いますか?
 しかし近代の哲学と言うのは、生産力が増した世界でどうそれまでの道徳に縛られずに商業世界を成り立たせるか、という需要を元に出来上がっているので、それで唯物論哲学になった、という側面もあると思いますが、その分社会の道徳は後退して、商業主義と人間の荒廃がセットになってる訳ですよ。

 だから渋沢栄一さんの方に古代と近代を合わせた弁証法的発展の姿か方向性が一応あるんだとは予想します。

 だって、今自分が問うてる「ゲームの正当制は何か」という命題そのものがそういう話ですもの。

 シブサワコウさんもそういう事を書くくらい「事業の哲学」についてはきちんとしているようだ。

 だから今でもゲーム業界で生き残っている、という事のようだ。

 でもこれは大きな企業で長く続けようと思ったら、必ずどこでもある事だと思う。

 なぜかと言うと仕事とか事業というのは「信用の積み重ねでできてる」ようなのが基本らしくて、例えば詐欺のようのもので一時大金を稼いだとしても後が続かない、ましてや人としての信用はもう容易に戻らない。

 自分は KOEIというゲーム会社が別に好きな訳では無いが、KOEIにはゲームとしてはめずらしく「歴史の認知に貢献している」学習要素があって、めずらしく「ただゲームしてるだけの意味では無い」要素があって、ほとんど唯一その他の意味も多少持つゲーム会社という事で、実は答えに一番近い会社ではあるのかも知れない。

 例えば三国志や戦国の武将の名前もかなり認知されたし「歴女」のような人も、まあイケメンが出てるからだとは思いますけど真田幸村なんかもNHK大河ドラマになったりしました。

 全国的に歴史の成績が上がった、という話も聞いた事があります。

 まあ学習ゲームやそういう意味での様々な「シミュレーション」がそういう意味合いを持つ可能性があるんだと思います。

 ところで事業の法則に「需要に集中すると成功する、事業の意味に固執すると失敗する」とは言われているようなので、自分は典型的なダメ事業者だとは言えるでしょう。

 ね、渋沢栄一さん的要素がいかに根本的で重要な近代ジレンマの問題か分かるでしょう。

 そこはやはりどっちに極端でもうまくいかなくて、バランス感覚が必要だと思うんですよ。

 とりあえず自分もゲームの第一の重要な要素は「面白い事」だとは思いますし、そうでないと第2第3の要素があったとしてもあまり意味を成さないんだろうなとは予想します。
 
 
 もう一つ KOEIの重要な要素がこの本から学べます。

 それは「ゲームが「創造と貢献」に合致しているか、つまり、今までにない新しいおもしろさがあるかを検討します。」と書かれていて、これは製品にするかどうかの検討会議のチェック項目なのだそうです。

 とにかく表紙カバーにも書いてあるんですが「今”あるもの”を変えるのではなく、まだ”ないもの”を創り出す!」という事で、まあこれはカバーの文字ですから編集が勝手に書いたのかもしれませんけどそういう事のようです。

 「他者と同じゲームは作らない。他者のまねはしない。他者を追わない。」
 「独創的な企画を考え、他者と違うことを”売り”にしたい。」

 という事なので「二番煎じ三番煎じではダメ」という事も言っていたと思いますが、これがなぜ大事なのかというと、要するになぜ 1万円超えでも売れるかというと「独占企業だから」ですよ(笑)

 昔からそうですけど独占企業だと価格はいくらにでも出来て、評判が悪くなる(笑)というのが歴史上いくらでもあります。

 冗談はともかく「オンリーワンだから高くても売れる」のは事実で、これも収穫逓減とイノベーションの話しではありますけど、それだけでもダメで KOEIさんの場合もそうですけど「クオリティ、つまり面白い」という事も無ければ当然ダメで、合わせてその値段でも売れたんでしょう。

 信長の野望が 14作三国志が 13作シリーズで出ているんだそうですけど、なぜ続けられるかと言うと「新しい要素を入れ続けてる」からだと言う事みたいです。

 この辺は自分も大いに参考にして、今後取り入れたいと思います。
 
 
 後は余談ではありますが、この人は「健康の大切さ」を知るのは遅かったようです。

 50才で大病してから考え直した、と言っていて、それまでは体重 100Kgあったそうですから、よっぽどですね(笑)

 実は事業家にとって「健康の大切さ」は基本的で重要な事なので、金持ちや事業家ほど健康面に関心がある、というのが大体の所です。

 なぜか、と言うと体力的な面もあるんですけど、実の所精神面にも多大な影響があって、健康でないとどうしても「積極的、建設的な思考」が出来ないからです。

 逆に大雑把に言って「悪い事(災厄)に対して隙ができるというか、抵抗力が無くなる」という面も多大にあります。

 例えば「人を使う立場の人が、人に対して暗い顔をしていたり、悲観的な考えを撒き散らしていたりしたり、その結果で運が悪かったりしたら、そもそも仕事にならない」という事もあると思いますね。

 例えば「疲れている時は決断してはならない」鉄則も、そういう例の一つでしょう。

 例えば自分は良くアントニオイノキさんの言葉を思い出すんでけど「元気があればなんでもできる」というのね、これは真理だと思いますね。
 それくらい基本になる事だと思います。

 自分もニート脱出にあたって、まず精神面を立て直さないといけませんでしたけど、健康というのが基本で、栄養運動休養と言いますけど、食べる事、運動する事、きちんとした時間に寝る事、これは本当に生きる事の基本であり、重要です。

 例えば食べる事は健康の基礎でして、伯父さんもコンビニの弁当で暮らして内蔵をやられて入院しましたけど、母が食事を作ってくれることの有り難さ、その生きていくための基本さ、というのは毎日の事なのであまり実感が沸かないんですけど、実はよほど重要な事です。

 まあ独身なら自分で料理を研究したほうが良いと思います、それをやらないとその内仕事もできないような事になってきます。

 運動する事もほんとに大事で、長時間仕事を続けられるかにも関係してくるのですが、行動力とかくよくよしなくなり建設的な思考を始めるために必要とか、とにかく基本です。

 これ以上は場違いなので詳しくは書きませんけど、睡眠も基本で重要です。

 これの実践の元祖にして最終とも言えるのが実は「徳川家康」なんですけど、運動栄養休養という事を徹底的に実践して長生きして天下を取ってます。
 たぶん予防療法の元祖とも言えるのではないかとも思います。

 事業家としてこの健康というのは、事業の基本だと自分は思います。
 というか結局自分も色々あったんですよ(笑)

 そこで大体経営者というのは、どこかでそう言う事を悟るか気づくかするんですけど、人によっては病気するまで気づかない人もいます。

 まあよくある話なんですが、仕事と、例えば家族とか、健康とか、利自と利他(利益と社会奉仕)の関係とか、仕事以外のファクタターとの「バランス」というか、そういう話は「天才には極端な人が多い」ので、よくある話しです。
 
 
 という訳で、この本も最終的な答えにはなりませんでしたけど、事業と言うのは大いに基本的な事をいかに徹底して実践するか、という事で改めて勉強させてもらいました。

 今後、大いにここに書かれている方式を取り入れて実践していきたいと思います。

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